山の辺の道(万葉歌碑) 21~26編

 昨日のつづきです。 やっとこれで26碑を掲載する事ができました。
 この碑は、桜井駅の桜井観光センターで頂いた『山の辺の道』のパンフレットに掲載された『山の辺の道 万葉歌碑』を収集したものです。歌碑は他にもあり、少し紛らわしい歌碑もありましたので、もし見て周られる方がいましたら気をつけてくださいね。
 それに、16・21は山の辺の道から少し外れてるので、見つけにくいかも・・・・・・
 何をするにも目的がないと夢中になれない奴ですから、この歌碑のお陰で散策も一段と楽しめました。


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          あしひきの山川の源のなるなべに
   
                       弓月が嶽に雲立ち渡る


□巻名/巻7~1088
□作者/柿本人麿
□筆者/鹿児島寿蔵
□場所/桧原神社付近

 
 山から流れ落ちてくる川の源の音が高くなりひびくにつれて、弓月嶽には一面に雲が立ち渡ってゆく。

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           三諸のその山なみに子らが手を

                        巻向山はつぎのよろしも


□巻名/巻7~1093
□作者/柿本人麿
□筆者/佐藤佐太郎
□場所/桧原神社付近

 三輪山の山並びに巻向山があるが、その並びかたがまことによろしい。

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            ぬばたまの夜さり来れば巻向の

                         川音高しもあらしかも疾き


□巻名/巻7~1101
□作者/柿本人麿
□筆者/武者小路実篤
□場所/桧原神社付近


 夜になってきたら近くの巻向川の川音が、とりわけ高くなってきた。山嵐が激しくなっているのだろうか。

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            巻向の桧原も未だ雲いねば

                          小松が末ゆ淡雪流る


□巻名/巻10~2314
□作者/柿本人麿
□筆者/山本健吉
□場所/相撲神社


 巻向桧の原にもまだ雲がかかっていないのに松の枝先(泡)雪が流れるように降っている。

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             あまくもにちかくひかりてなるかみの

                          みればかしこみねばかなしも


□巻名/巻7~1369
□作者/作者未詳
□筆者/会津八一
□場所/穴師坐兵主神社

 天雲の近くで光って鳴る雲のように、あの方にお逢いすれば恐れ多くて近寄れず、お逢いしなければ悲しいのです。


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         うま酒三輪の山青丹よし奈良の山の山のまに

                      い隠るまで道のくまいさかるまでに

         つばらにも見つつ行かむをしばしばも

                      見さけむ山を心なく雲の隠さふべしや


□巻名/巻1~17
□作者/額田王
□筆者/中河興一
□場所/景行天皇


 なつかしい三輪山よ。この山が奈良の山々の間に隠れてしまうまで、また行く道の曲がり角が幾つも幾つも後ろに積もり重なるまで、充分に眺めていきたい山であるものを、たびたび振り返っても見たい山であるものを、無情にもあんなに雲が隠してしまってよいものだろうか。

反歌

             三輪山をしかもかくすか雲だにも

                          心あらなむかくさふべしや


□巻名/巻1~18
□作者/額田王
□筆者/中河興一


 名残惜しい三輪山をどうして雲があんなに隠すのか。人はともかく、せめて雲だけでもやさしい情があってほしい。あんなに隠すべきであろうか。