当尾の里 石仏めぐり その3

西小石仏群(室町期以降)
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西小五輪塔(重文:鎌倉期)
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 浄瑠璃寺から府道を西に進むと大きな五輪塔が目に付きます。この五輪塔重要文化財
指定されています。左のものは、基礎が複弁の蓮の花びらが垂れた形の反花座で格狭間
(こうざま)と呼ばれる装飾を設けており、右のものは、反花座のみで側面は無地です。
反花座を備えた大和系五輪塔の代表作の一つとされています。
西小墓地石仏群(室町期以降)
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 ここには、埋没や盗難などで散逸を防ぐ為に周辺に散在していた無縁墓や石仏が集められ
ました。五輪塔や宝筐印塔を板碑に刻んだものは、室町時代の逆修供養の為のものが多く、
生前に自分の法要を行い死後の極楽浄土を願って作られたそうです。
たかの坊地蔵
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 舟形の光背を背負う矢田型の地蔵です。矢田型と呼ばれるのは、大和矢田寺の地蔵が右手を阿弥
陀の印相である施無畏(せむい)印に結ぶ事から呼ばれます。頭の周りに蓮弁の光背が刻まれますが
風化して分かり辛いです。錫杖(しゃくじょう)を持たない姿の地蔵は一般的に古いタイプとされます
ツジンドの焼け仏(阿弥陀三尊石仏:鎌倉期)
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 かってここに、この石仏を本尊とする辻堂があったのが火災に遭い、石仏も損傷しました。
中央に阿弥陀如来、両脇に地蔵と錫杖(しゃくじょう)を手にした十一面観音を従えた堂々たる
石仏です。本来、弥陀の脇侍は観音、勢至菩薩てすが、地蔵に代えられる事が以外に多く浄土
信仰と地蔵信仰結合の所産とされています。
大門の仏谷(阿弥陀磨崖仏)
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 ツジンドの焼け仏からまた山道に入ると、一面紅葉に包まれた景色が飛び込んできました。
ここが、大門の仏谷です。谷向こうを覗くと約6mの岩に彫られた、像高2.88mの阿弥陀磨崖仏で
当尾では最古、最大と言われるの石仏が見ることができます。この石仏は謎が多く、像名に関し
て、阿弥陀、胎蔵大日、釈迦、弥勒など諸説があり、製作時期に関しても奈良前期~鎌倉中期迄
の諸説があるそうです。
大門石仏群(室町期以降)
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 西小墓地と同じく周辺の石仏、板碑などを集めたもので石龕(せきがん)仏の中には美しい姿の
地蔵も見られ又、六字名号板碑(いたび)や五輪板碑もあり変化に富んでいます。近くには谷下
地蔵磨崖仏(室町期)もあるのですが、残念ながら近づく事ができませんでした。
首切地蔵(東小阿弥陀石龕仏)
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 この石仏がある場所は元、釈迦寺があったそうです。「首切地蔵」の名は、刑場にあったから
という俗説もあるのですが、石仏の首が深くくびれて切れているように見えるからだそうです。
当尾の在銘石仏では最古と言われており、「地蔵」と呼ばれますが定印を結ぶ阿弥陀で薮中三尊の
作風に近く、同じ石工の手によるものと思われています。
 ここの紅葉も、見どころでしたよ。
薮の中三尊磨崖仏(鎌倉中期)
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 元、浄土院という塔頭の本尊だった事が銘文から知られ御倉地蔵とも呼ばれていました。
薮中の花崗岩に舟形の光背を彫り窪め、中央に地蔵、向って左に阿弥陀、右に長谷寺型十一面観音
を配しているのは非常に珍しいそうです。十一面観音は他の二体に比して小さいですが、丹念に
作られた秀作です。中尊地蔵の額部に白毫(はくごう)が嵌められていた跡が残り、石仏では珍しい
とされる当尾地方、現存石仏中の逸品だそうです。

 ここで、時間は4時をむかえました。ちょうどいいハイキングコースですよね。
ほんと、天気もよく歩くと汗ばむ程度。。。。。石仏を探しながら歩くというのも楽しみの
ひとつでしたよ。紅葉は岩船寺がきれかったですよね。あとは、大門の仏谷、首切り地蔵
あたりがよかったです。ここを訪れたのは2度目。。。昨年は、バイクでまわったので
やはりありがたみが違いますね。 こういう所は、のんびりと気ままにまわるのがいいです。
 また、来年の秋。。。それとも紫陽花のきれいな季節に来たいものです。


撮影日  2008年12月4日(木)